骨粗鬆症の原因は?加齢・閉経・生活習慣との関係やなりやすい人を解説
「骨粗鬆症は年齢のせいだと思っているけれど、ほかにも原因があるの?」「閉経後は骨が弱くなりやすいと聞き、自分も心配」と感じていませんか。骨粗鬆症は加齢や閉経との関係が深い一方、食生活や運動習慣、病気、服用している薬など、さまざまな要因が関係して起こることがあります。
骨粗鬆症は初期には自覚症状がほとんどないこともあり、骨折をきっかけに気づくケースもあります。自分にどのような要因が当てはまるのかを知っておくことは、骨の状態に目を向けるきっかけになります。
この記事では、骨粗鬆症が起こる仕組みをはじめ、原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症の違い、それぞれに関係する主な原因を解説します。骨粗鬆症になりやすい要因が自分に当てはまるか気になっている人は、ぜひ参考にしてください。
骨粗鬆症は骨代謝のバランスが崩れて起こる

骨は、一度つくられたらそのままの状態が続く組織ではありません。古くなった骨を壊す「骨吸収」と、新しい骨をつくる「骨形成」を繰り返しながら、日々つくり替えられています。この働きは骨代謝や骨のリモデリングと呼ばれ、健康な骨を保つために欠かせない仕組みです。
骨吸収と骨形成のバランスが保たれていれば、骨の量や強さも維持されます。しかし、骨を壊す働きが骨をつくる働きを上回る状態が続くと、少しずつ骨量が減っていきます。その結果、骨がもろくなり、骨折しやすい状態につながります。
また、骨の強さは骨密度だけで決まるものではありません。骨の微細な構造や材質などを含む「骨質」も関係します。そのため、骨粗鬆症では骨密度の低下だけでなく、骨質の劣化も含めて骨の強度が低下していると考えられます。
骨代謝のバランスが崩れる背景は人によって異なります。年齢や閉経など体の自然な変化が関係する場合もあれば、特定の病気や薬剤などが影響していることもあります。骨粗鬆症の原因を考える際には、骨そのものの変化だけでなく、その背景にも目を向ける必要があります。
骨粗鬆症の原因は大きく2種類
骨粗鬆症は、原因の考え方によって「原発性骨粗鬆症」と「続発性骨粗鬆症」に大きく分けられます。どちらも骨が弱くなり骨折しやすくなる点は共通していますが、発症に関わる背景が異なります。まずは2つの違いを、下の表で押さえておきましょう。
比較項目 | 原発性骨粗鬆症 | 続発性骨粗鬆症 |
主な背景 | 明らかな基礎疾患や薬剤の影響がなく、加齢・閉経など複数の要因が重なる | 骨に影響する病気や薬剤など、骨粗鬆症につながる特定の背景がある |
なりやすい人 | 閉経後の女性や高齢者など | 年齢・性別を問わず生じうる(閉経前の女性や男性で発症した場合など) |
主な要因 | 加齢、閉経(女性ホルモンの減少)、遺伝的な素因、生活習慣など | ホルモン・代謝の病気、栄養吸収の低下、薬剤、長期の活動量低下など |
対応の考え方 | 加齢や生活習慣などを踏まえて骨の状態をみていく | 骨だけでなく、背景となる病気や治療内容もあわせて考える |
原発性骨粗鬆症
原発性骨粗鬆症は、骨量の低下につながる明らかな基礎疾患や薬剤の影響がなく、加齢や閉経など複数の要因が関係して起こる骨粗鬆症です。骨粗鬆症の多くは、この原発性に分類されます。
「原因が分からない」という意味ではなく、年齢とともに起こる体の変化や女性ホルモンの減少、遺伝的な素因、これまでの生活習慣などが重なって骨の強さが低下していくと考えられています。
どの要因がどの程度関係しているかは人によって異なるため、1つの理由だけで説明できるとは限りません。特に閉経後の女性や高齢者では骨量が減りやすくなるため、骨の状態に注意が必要です。
続発性骨粗鬆症
続発性骨粗鬆症は、骨量や骨質に影響する病気や薬剤など、骨粗鬆症につながる背景があるタイプです。加齢に伴って起こる原発性骨粗鬆症とは異なり、年齢や性別にかかわらず生じる可能性があります。
背景となる要因には、ホルモンや代謝に関係する病気、栄養を十分に吸収できない状態、長期間の薬剤使用などがあります。骨粗鬆症だけを治療するのではなく、原因となっている病気や治療内容についても考える必要がある点が特徴です。
若い人や、年齢だけでは骨密度の低下を説明しにくい人では、続発性の可能性も考えます。原因によって必要な対応が異なるため、医療機関で背景を含めて評価することが重要になります。
原発性骨粗鬆症につながる主な要因

原発性骨粗鬆症には、加齢や閉経など自分では避けにくい要因だけでなく、食生活や運動など日々の過ごし方も関係します。複数の要因が重なっている場合も少なくありません。自分に当てはまるものがないか、代表的な要因を見ていきましょう。
加齢による骨量の低下
骨量は成長期に増加し、若い時期にピークを迎えた後、年齢を重ねるにつれて徐々に減少していきます。加齢によって骨をつくる働きが低下すると、骨吸収とのバランスが崩れやすくなり、骨量も減少しやすくなります。
そのため、骨粗鬆症は男女ともに年齢が高くなるほど注意が必要な病気です。特に高齢になると、若い頃と同じ生活をしていても骨量を維持しにくくなる場合があります。
加齢そのものを防ぐことはできませんが、年齢によって骨の状態が変化することを知っておけば、骨密度検査などを受けるきっかけになります。「年齢のせいだから仕方がない」と考えず、自分の骨の状態を知ることがポイントです。
閉経による女性ホルモンの減少
女性では、閉経を迎える頃から骨量が減少しやすくなります。大きく関係しているのが、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの減少です。エストロゲンには骨代謝に関わる働きがあり、分泌量が低下すると骨吸収が進みやすくなります。
閉経後に骨量の減少が進みやすいのは、この女性ホルモンの変化が背景にあります。そのため、閉経後の女性は、それまで骨に問題を感じていなかった場合でも骨粗鬆症への注意が必要です。
また、年齢が若くても、無月経が長く続いている場合や早い時期に閉経した場合などでは、女性ホルモンの影響を考えることがあります。痛みなどの症状だけでは判断できないため、気になる場合は骨密度を調べてみるのも一つの方法です。
遺伝的な素因・家族歴
骨粗鬆症や骨折のなりやすさには、遺伝的な素因も関係しています。家族に骨粗鬆症の人がいる場合や、両親に大腿骨近位部骨折の経験がある場合などは、骨折リスクを考える際の情報の一つになります。
ただし、家族に骨粗鬆症の人がいるからといって、必ず自分も骨粗鬆症になるわけではありません。骨の状態には、年齢や性別、体格、生活習慣などさまざまな条件が関わっています。
遺伝や家族歴は自分では変えられない要因ですが、骨の状態を早めに意識するきっかけにはなります。家族に骨粗鬆症や骨折歴がある場合は、受診や健診の際にその情報を医師へ伝えておくとよいでしょう。
栄養不足や運動不足などの生活習慣
骨の健康を保つうえでは、毎日の食事や運動も重要です。カルシウムは骨を構成する成分の一つであり、ビタミンDにはカルシウムの吸収を助ける働きがあります。偏った食生活や過度な食事制限などによって必要な栄養素が不足すると、骨量を十分に保ちにくくなる可能性があります。
また、骨は歩行や運動などで適度な負荷がかかることで、その強さを保っています。運動不足の状態が長く続くと、骨への刺激が減るため、骨の健康にも影響を及ぼします。
喫煙や過度な飲酒も骨粗鬆症や骨折のリスクに関係する要因です。特に若い時期の過度なダイエットは、将来の骨量にも影響する可能性があります。高齢になってからだけではなく、若いうちから無理のない食事と運動を意識することが大切です。
続発性骨粗鬆症につながる主な要因
続発性骨粗鬆症では、骨そのものだけでなく、病気や治療による体への影響も考える必要があります。原因となる背景は一つではなく、病気の種類や治療内容によっても異なります。骨密度が低い理由を加齢だけでは説明しにくい場合には、次のような要因が関係していないか評価します。
ホルモンや代謝に関わる病気
ホルモンや代謝に関わる病気の中には、骨量や骨質、骨代謝に影響し、骨折リスクを高めるものがあります。例えば、甲状腺や副甲状腺に関わる一部の病気、糖尿病などです。
ただし、骨への影響の仕方は病気によって異なります。例えば、2型糖尿病では骨密度が必ずしも低くなくても、骨折リスクが高くなる場合があるため、骨密度だけで骨の状態を十分に評価できるとは限りません。
持病がある人で骨密度の低下や骨折がみられた場合には、病気の種類や経過も含めて原因を考えます。骨粗鬆症だけを見るのではなく、背景となる病気の状態も合わせて評価する必要があります。
消化器疾患などによる栄養吸収の低下
食事からカルシウムやビタミンDなどを摂っていても、消化管から十分に吸収できなければ、骨の健康に影響することがあります。胃の切除後や、栄養素の吸収に影響する一部の消化器疾患などでは、骨量の低下に注意が必要です。
これは、単純に食事の量や栄養が不足している状態とは異なります。食事から栄養素を摂取できていても、体内へ取り込む過程に問題があるためです。
消化器の病気や手術歴があり、骨密度の低下を指摘された場合には、食生活だけを見直すのではなく、背景にある病気との関係も考える必要があります。必要に応じて栄養状態なども確認しながら対応していきます。
ステロイド薬などの薬剤
薬剤の中には、長期間使用することで骨量の低下や骨折リスクの上昇につながるものがあります。代表的なのが、炎症性疾患や自己免疫疾患などの治療で使用されるステロイド薬です。
ステロイド薬は骨をつくる働きなどに影響するため、使用量や使用期間によっては骨粗鬆症への対策が必要になることがあります。治療開始時から骨折リスクを考慮し、必要に応じて骨密度の評価や予防・治療を行います。
ただし、「骨に影響するかもしれない」と心配になっても、処方されている薬を自己判断で減らしたり中止したりしてはいけません。治療中の病気が悪化するおそれがあります。気になる場合は、薬を処方している医師や整形外科へ相談してください。
長期臥床などによる活動量の低下
骨は、立つ・歩くといった日常の動作で適度な負荷がかかることで、その強さを保っています。病気やけがなどによって長期間ベッド上で過ごし、骨にかかる負荷が大きく減ると、骨量が低下しやすくなることがあります。
長期間体を動かさない状態では筋力も低下しやすいため、再び活動を始める際には転倒にも注意が必要です。一方で、骨量を増やしたいからといって、体の状態を考えず急に運動量を増やすのは適切ではありません。
病気や骨折の治療中などで活動量が低下している場合は、そのときの体の状態に合わせて運動を再開する必要があります。医師や理学療法士と相談しながら、無理のない範囲で身体活動を戻していきましょう。
骨粗鬆症になりやすい人の主な特徴
これまで見てきた要因のうち、代表的なものを整理すると、次のような特徴がある人は骨粗鬆症に注意が必要です。複数当てはまる場合や、加齢・閉経に生活習慣などが重なっている場合は、より意識しておきたい状態といえます。
閉経を迎えた、または早い時期に閉経した女性
高齢の方(男女とも年齢が高くなるほど注意)
家族に骨粗鬆症の人や、両親に大腿骨近位部骨折の経験がある
やせ型、過度なダイエットや偏った食生活をしている
運動不足の状態が続いている
喫煙する、または飲酒量が多い
ホルモン・代謝の病気や消化器の病気・手術歴がある
ステロイド薬など、骨に影響しうる薬を長期間使用している
これらはあくまで注意したい要因の目安です。当てはまるからといって必ず骨粗鬆症になるわけではなく、逆に当てはまらなくても骨量が低下していることもあります。気になる場合は、骨密度を調べて自分の状態を確認することが大切です。
骨粗鬆症の原因が気になる場合の検査

骨粗鬆症は初期には自覚症状が乏しく、骨折して初めて気づく場合もあります。原因となり得る要因に心当たりがある場合は、痛みの有無だけで判断せず、骨の状態を調べることも重要です。骨密度に加えて病歴や服薬歴なども確認することで、骨粗鬆症の背景をより詳しく評価できます。
DXA法による骨密度測定
骨粗鬆症の評価で重要な検査の一つが骨密度測定です。代表的な方法にDXA法があり、2種類のX線を利用して骨密度を測定します。腰椎や大腿骨近位部などの骨密度を測ることで、骨の状態を数値として確認できます。
当院では、DXA法を用いて腰と股関節の骨密度を測定しています。痛みがなくても骨密度が低下している場合があるため、自覚症状だけでは分からない骨の状態を調べる際に役立つ検査です。
骨密度の結果は、若年成人の平均値と比較したYAMなどを用いて評価します。ただし、骨密度の数値だけで原因まですべて分かるわけではないため、次に挙げる病歴や生活背景などの情報と合わせて判断します。
病歴や服薬歴などを含めた評価
骨密度が低いことが分かった場合には、「なぜ骨の強さが低下しているのか」という背景にも目を向けます。年齢や閉経の時期、過去の骨折歴、家族歴、持病、現在服用している薬などは、原因を考えるうえで重要な情報です。
続発性骨粗鬆症が疑われる場合には、必要に応じて血液検査などを行い、骨代謝に影響する病気や栄養状態などを確認することがあります。検査内容は年齢や症状、既往歴によって異なります。
受診する際は、現在の服薬内容が分かるお薬手帳や、過去に受けた骨密度検査・血液検査の結果があれば持参すると診療に役立ちます。以前より身長が縮んだ、軽い転倒で骨折したことがあるといった変化も、医師へ伝えておきたい情報です。
骨粗鬆症の原因に関するよくある質問
骨粗鬆症は加齢が原因なら防げないのですか?
加齢そのものは避けられませんが、骨粗鬆症は加齢だけで決まるわけではありません。食生活や運動習慣、喫煙・飲酒など、日々の過ごし方も関係します。若いうちに骨量を高め、その後の減少を緩やかにすることが大切で、年齢を重ねてからでも生活習慣を見直す意味があります。「年齢のせい」と考えず、骨の状態を知ることがポイントです。
男性でも骨粗鬆症になりますか?
骨粗鬆症は女性に多いものの、男性でも起こります。加齢に伴って男女とも骨量は減少し、続発性骨粗鬆症は年齢や性別を問わず生じる可能性があります。骨密度の低下を指摘された場合や骨折歴がある場合は、性別にかかわらず骨の状態を確認しておくとよいでしょう。
閉経すると必ず骨粗鬆症になるのですか?
閉経後はエストロゲンの減少によって骨量が減りやすくなりますが、閉経した人が必ず骨粗鬆症になるわけではありません。骨の状態には、もともとの骨量や体格、生活習慣などさまざまな条件が関わります。閉経を迎えた頃は、骨密度を調べて自分の状態を把握する一つの目安となる時期です。
症状がなければ検査は受けなくてよいですか?
骨粗鬆症は初期に自覚症状が乏しく、骨折して初めて気づくこともあります。そのため、痛みがなくても、閉経後や高齢の方、骨折歴・家族歴がある方などは、骨密度を調べておくと安心です。自覚症状の有無だけで判断しないことが大切です。
まとめ | 骨粗鬆症は複数の原因が関係する
骨粗鬆症は、骨吸収と骨形成のバランスが崩れ、骨の強さが低下することで骨折しやすくなる病気です。原因は大きく原発性と続発性に分けられ、原発性では加齢や閉経、遺伝的な素因、食生活や運動習慣などが関係します。続発性では、ホルモンや代謝に関わる病気、栄養吸収の低下、ステロイド薬などの薬剤、長期間の活動量低下が背景となることがあります。
骨粗鬆症は自覚症状がないまま進む場合もあるため、原因になり得る要因がある人は、骨の状態を知ることが大切です。当院では、DXA法による腰・股関節の骨密度測定を行っています。閉経後で骨の状態が気になる人、骨折歴や家族歴がある人、骨密度の低下を指摘された人は、お気軽にご相談ください。持病や服用中の薬がある場合も、その情報を踏まえて骨の状態を評価していきます。
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